from : ほんとねこ
「本を売る」という事について考えることがあります。
私は長いこと書店で働かせてもらっていますが
ひとつの書店に長く務めたわけでなく
こういった感じで色んなタイプの書店で働かせて頂きました。
街の書店の新刊の入荷の少なさから、
規模が大きいが故に、店の特色がなくなり
どの支店も同じ感じになるジレンマなど色々経験しました。
色々な書店さんに色々な苦労があるかと思います。
(あと、この合間合間にコンビニや古本屋などでも働いたので
本屋というのは結構特殊な仕事だなぁとしみじみ思います)
(でも何故か書店員ってまた本屋に戻ってくるんですよね…)
そして今も懸命に頑張ってはおりますが、
自分の考える中ではC書店にいた時代が一番にしんどく、
そして一番本気で「本を売りたい」と思っていた時期でもありました。
自分でも不思議なのですが売りたい、というより
「本を売らなくては」と半ば使命のように思っており
定時よりもものすごく早く出勤し、サービス残業ののち夜も遅くに帰宅。
休みの日には入荷の少なかった文庫を自宅から発注など、
心身共に限界まで働いていました。
そこまで働けていたのは、まぁもちろん若かったのもありますし
会社の方針でそのブラックな働き方が当たり前だったので
せざるを得なかったというのもあるのですが
一緒に働いていた書店員たちに恵まれていて
その人たちが踏ん張っていたからこそ、一緒に無理できたというのもありました。
売り場作りにしてもかなり好き勝手にやらせて頂いて
心身ともに辛かったはずなのに、ここで働いた時期が
今でも頑張れる基盤になっている気がします。
ただ、夜、暗い中をバスで帰っている時など、時折
「どうしてこんなになってまで本を売らなければいけないのか」
と思うことがあって…
本が好きで「みんながもっと本を読んでくれたらいいなぁ」と
本屋で働き始めたはずが、自分自身が忙しすぎて
本を読んでいない事に気づき、何がしたかったのか
わからなくなってきた頃…
郊外の今まで何もなかったところにできた施設に入った本屋だったからか
お客様も今まであまり本に興味のなかった方も多く
それだけに問い合わせや注文など手こずることも多かったのですが
そのお客様のその一言を聞いた時
すごく嬉しかったと同時に、何故か
「ああ、もう辞めていいんだ」 と
急に肩からストンと荷が下りた気がして
家に帰って大泣きした覚えがあります。
その時はわからなかったのですが今にして思えば
「本を売り」たかったのではなく
「本って面白いよね」と誰かに伝えたかったのかもしれません。
結局、体調も厳しかったのもあり、その書店を辞した後は休養をとり
元気になってからはコンビニで働いたりしましたが
やはり書店に戻ってきてしまいました。
あの時は何でも自分でやってやる!と意気込んでいましたが
年をとって少しでも学んだ分(はず)
今度は無理をせず、幸い、尊敬できる先輩たちなど
人に恵まれた書店に務めることができたので
(いつまでいられるかはわかりませんが)
自分の頑張れる範囲で、ちょっと立ち寄りたくなる
売り場を作っていきたいなぁ、と思っています。
そして仕事だけでなくこういったブログなどの形でも
本をオススメしていけたらいいなぁ、なんて思っています。
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【本日のオススメ】
【 重版出来 】 (松田奈緒子・著 / 小学館)
そんな作り手たちの想いなどがみっしり詰まったコミックです。
主人公である新人編集者、黒沢心の頑張りだけで物語を引っ張るのではなく
コミック雑誌を作る編集者、編集部、マンガ家、書店員など
それぞれの想い、葛藤、奮闘が描かれており
本を作る、売る楽しさなどだけでなく暗部も見せてくれますし
人間ドラマとしても大変に骨太で面白いです。
本に携わる人は胸が熱くなること間違いなしですし
そうでなくてもこんな風に本は作られ、売られているんだ、とわかります。
やや癖のある絵柄ですが勢いのある展開にすごく合った
勢いのある熱い素敵な絵です。
この本を読むまでずっと「じゅうはんでき」と読んでいましたが
読んで以来「じゅうはんしゅったい」と読んでいます。
そのくらい胸アツ!
2014年にかなりコミック系の賞に入っていたので
ご存知の方も多いかと思いますが読んだことのない方は是非!
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すっかり長くなってしまいました…何が言いたいかというと
今回、自身の本を出版させて頂くことで
職業柄、今まで本を売ろうとしている人たちの
想いはわかっていたつもりでしたが、
作り手、書き手はもちろん、それを世に送り出そうとしている人
色んな人の色んな思いを背負って
本というものは世に出ているんだなぁ、という事を
改めて自分の身で学ぶことができました。
出版まで携わって下すった沢山の皆様、
そしてその大切な本を手に取って下すった皆様に心より感謝申し上げます。
【お知らせ】
おかげ様で書籍「ほんとねこ」の重版が決まりました。
心よりお礼申し上げます!
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(web拍手では月替わりでオススメの本を紹介しています)
【オマケ】本の話題が続いたので猫写真。
オンちゃんの重みに耐えかねてついに段ボール倒壊。
…そんな顔されてもなぁ…
というわけで新しい箱を用意したら用意したで入らない謎。
なんというままならなさよ!
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