2016年12月21日水曜日

かまいすぎの問題

かまいすぎの問題
from : ドッグウォーカー博士のスローライフ

雨が降ったり止んだりのいまいちな天気だったが、夕方散歩はのんびり歩けた。

わたしも、月桃の葉っぱのにおいをかいだり、パパイヤを眺めたりなどして楽しんだ。

おいしそうな実を見つけたが、木の幹に行政のお知らせが貼り付けてあった。

毒があるので触ったり食べたりしないようにと書いてある。

わたしのような人が食べて中毒にならないようにということだ。

あぶないあぶない。

ところで、カウンセリングをしていると、非常に不安の強い犬に遭遇する。

不安のあまりに、飼い主に始終つきまとったり、気を引こうとして吠えたりする。

飼い主の口元をしょっちゅう熱心に舐めたり、飼い主に体をくっつけてきたりするのも、不安が強い犬によく見られる行動である。

不安の原因は複合的なのだが、そのひとつに、飼い主のかまいすぎというのがある。

いつも犬に注目したり、声をかけたり、触ったり、先回りして世話を焼いたりしてしまうのだ。

これは裏を返せば、飼い主の不安の表れでもある。

それが犬にも伝わって、犬のほうも依存的で不安定になってしまう。

飼い主が始終かまっていて(本人は「かわいがってる」と思っていることが多い)、すぐにキャンキャン吠える犬を見ると、「甘やかしたからワガママな犬になったんだ」と言いたくなるが、これはちょっと違う。

「ワガママ」とは、「他人のことを考えず、自分の都合だけを考えて行動すること」を意味し、複雑な社会構造の中で位置確認と、他人との関係における社会的要求を汲み取る能力なども含意されているので、犬に使うと擬人化しすぎである。

また、飼い主の態度を「甘やかし」というと、これも正確ではない。

甘やかしとは、「きびしくしつけないでわがままな行動をゆるす」ことだが、厳しくしつけつつかまいすぎというケースもあり、それが問題行動を誘発することもあるからである。

こうした事態を旧来のリーダー論者は、こんな風に説明する。

常に犬を見たり、しゃべったり触ったりしていると、犬にバカにされ舐められるから、そうしないことによって主従関係を築かなければならないと。

かまわないことがなぜ主従関係構築になるのかについては説得的な説明はなされないのだが、かまいすぎないという処方は正しい。

犬との距離をうまく保てないというのは、他の家庭動物との間でも当てはまるが、猫の場合はあまり問題にならない。

猫の場合は、ちょっと撫でたり一緒に寝たりして満足すると、自分から去っていくし、やったことはないがしつこく触ったりすると怒る。

もちろん猫も我慢するが、犬ほどではない。

犬(とくに単頭飼い)の場合は、相当不快であっても、自分から去っていかずにすごく我慢する。

なので、限りなく密着した関係に陥りやすい。

このように言うと、犬という種に問題があるように思うかもしれないが、そうではなく人間側にその主要な問題がある。

犬にのみな関心がいくような生活をしている場合、たとえば自分と犬だけでほとんど室内にこもって生活している高齢者などではそうなりやすい。

また、トレーニングに熱心な教育ママや、犬に依存しまた依存されることによって自分の存在意義を確認する共依存も同様である。

これらは犬にかまって欲しい、なぐさめて欲しいという行動としてあらわれ、無意識的に犬の関心を自分にひきつけようとし、その結果犬の依存性を高めることになるのである。

これとは別に、犬との接し方がよくわからずに、常にかまっていなければいけないと思い込んでいるケースもあるだろう。

かまいすぎを変えていくには、次のようにしではどうだろう。

犬がついてきても、見たりかまったりせずに、自分の用事をすませる。

仕事中にかまってくれと来たら、「あとでね」と言って仕事を片付けて、それから散歩に行くなどの気分転換となるようなことをする。

トイレやお風呂などについてきても、いちいち気にせずに、知らん顔している。

もしお風呂やトイレのドアをがりがり引っかいていたら、少し開けてあげて、入りたがっていたら入れてあげる。

多くの犬は水遊びは好きでもお風呂は嫌いなので、たいていは「なーんだ」という顔で立ち去るが、もし入浴したがっていたら一緒に入浴してしまってもいい。

冬の寒い時期に、自分がリラックスしているときに、暖を求めて膝の上に乗りたがるなどというのは乗せてあげる。

下りたがったら下ろしてあげる。

だが、自分から犬のところに行って、わざわざ抱っこしたりはしない。

自分は自分、犬は犬というふうに、それぞれが独立して過ごしていると、だんだん付きまといはなくなってくるし、追い鳴きや留守番時の吠えなども改善する。

ひとりでいることにも慣れてもらう必要があるが、いきなり何時間も留守番をさせるのではなくて、室内に一緒にいるときに、それぞれ別な時間を過ごすことから始めるのである。

もちろん、犬だけでなく、自分も慣れることが必要だ。

自分自身のためには、犬以外の趣味、あるいは関心の対象を見つけるというのがいい。

そうやって自分が楽しくすごし、安定していたら、犬も安心し安定するだろう。

不安が原因の行動は、対症療法ではうまくいかないということを理解しておきたい。

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