2015年7月20日月曜日

危険を教えるのに罰?

危険を教えるのに罰?
from : ドッグウォーカー博士のスローライフ

夕方散歩に出ようとしたら、雷が鳴り出した。


マルちゃん(ドゴMIX♂7歳)は部屋に避難した。


少しぐらいなら大丈夫なのだが、今日はルルさん(ヨーキー♀10歳)がソファーの下に隠れるほどの大きな音だった。


はっちゃん(秋田MIX♂3歳)も興奮気味で、いつもの歯磨きガムも食べられなかったので、散歩は中止にした。


こういう日に散歩に出ても、結局すぐに帰ることになるからだ。


エアコンの効いたリビングで、みんなで静かに過ごした。


ところで、動物の親は子獣がいけないことをしたら罰するというようなことが、よく言われている。


だから人間が犬を叱るのは当然だという結論が待っているのだが、わたしはかねがねこれを疑問に思っている。


野生のチンパンジー研究の草分けであるジェーングドールによれば、チンパンジーはとても愛情深く子育てをして、子供が危険なことをしようとしたら、うまく気をそらすのだそうだ。


泣いたらすぐに飛んでいって抱っこしてあやし、不安を取り除いてあげるという。


では霊長類以外ではどうだろう。


『狼の群れと暮らした男』には、こんなエピソードが載っていた。


著者ショーン・エリスが野生狼の群れの一員に加えてもらって食べ物を運んでもらいながら生活していた時のこと。


赤ちゃん狼の見張りを任されていたショーンが水を飲みに行こうとして歩いていると、、1頭が未だかつて見せたことがないような剣幕で威嚇して、彼を木のうろのところまで追い詰めて、少しでも動いたら咬み殺すぞという素振りを見せていた。


そのままの状態で何時間か過ごすと、ある瞬間にいつもの穏やかな狼に戻った。


すると先ほど行こうとしていた方向に、クマの足跡が付いていて、狼が窮地を救ってくれたことに気づいたという。


これは、赤ちゃんではないが、言葉の通じにくい異種の仲間を危険から守るために狼がとった行動だが、罰ではなくて威嚇を使っているところがポイントだ。


威嚇が通じる相手であれば、それで充分なのである。


子獣も威嚇にはよく反応する。


しつこかったり乱暴だったりしても威嚇で十分だし、人間から見て罰のように見える行動でも、実際にはダメージは与えていない。


マル兄は、赤ちゃんだったはっちゃんに対しては、唸ったり転がしたりはしていたが、傷つけたり恐怖や不安を与えたりはしなかった。


めげない悪ガキはっちゃんにうんざりしてはいたが。


唸る、転がす、前足で押さえるなどは、「やめてくれ」の意思表示であって、犬同士でよく用いられるコミュニケーション的行動だ。


罰というのは、ルール違反を犯した相手に不快感を与えるための行為であり、そこに一定のルールがあるにしても仕返しに近い。


動物が子獣に対して、人間が考えているような頻度と性質の罰を使うかどうかは疑問だ。


にもかかわらず、人間は動物の親がやっているなどと言って、罰を正当化する。


多くの場合その罰は、不快すぎたり、心身ともにダメージを与えすぎたりして、肝心の「やめてくれ」が伝わっていない。


たとえば、犬が危険なものをくわえようとした時に、人間は無理やり取り上げようとする。


人間の赤ん坊にもそうするというのかもしれないが、それは人間に知恵がないからである。


チンパンジーだったら、別のもので気をそらして取り替えるのだ。


人間も赤ちゃんにそうしてあげたら、きっと穏やかないい子に育つだろうに。


制裁ではなくコミュニケーションで解決するというのが、平和と繁栄を実現する要ではないかと思うのである。


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