2015年4月9日木曜日

「犬は本能に従って行動するだけ」

「犬は本能に従って行動するだけ」

from : ドッグウォーカー博士のスローライフ

朝散歩に出たら、山の木々が雪化粧していた。





ひさしぶりに手がかじかんだ。





犬たちは早めに散歩を切り上げたが、寒くはないようで庭でくつろいでいた。





外に置いていたみかんが1つ傷んでいたので庭に捨てたら、はっちゃん(秋田MIX♂2歳)がすかさずくわえて走って行った。





そして、しばしひとり遊びを楽しむ。





出遅れたマルちゃん(ドゴMIX♂6歳)は、口をプッとふくらませて不満顔だ。





マルちゃん好みのおもちゃではないのだが、はっちゃんが楽しそうにしているのをみて、自分もやってみたくなったのだろう。





はっちゃんはすぐに飽きて家に入ってきたが、マルちゃんがみかんで遊ぶ様子はなかった(笑)。





ところで、犬のしつけサイトを見ていると、こういう表現を目にすることがある。





「犬は本能に従って行動するだけ」。





強制訓練系のところに多いようだ。





といっても、いまはそういうところも、「犬にやさしい」とか、「強制してない」とかいうのでわかりにくい。





「上下関係」とか「リーダー」とかいうところ、ぐらいのくくりにしておこう。





「本能に従って行動する」というのは、わかったようでわからない表現だ。





わたしの専門分野のヨーロッパ思想の本(主として哲学)を読んでいると、動物は本能のままに行動し、人間は理性で行動を律するというような言説をよく目にする。





だが、それは何百年も前の話だ。





現代では、人間と人間以外の動物をはっきり分けることはますます困難になり、「本能のままに」などということは、動物についても言われなくなった。





人間も人間以外の動物も、外的世界との不断の相互作用によって、自分自身を再生産し続けており、その中で行動を発達させているのである。





なにか生得的なものを意味する「本能」なるものによって、一方的に突き動かされているわけではない。





ではなぜ、「犬は本能に従って行動するだけ」などということが言われるのだろうか。





それはおそらく、「人間は偉いからリーダーで、犬は人間よりも下だから、人間様に従え」ということの、別の表現なのである。





こういうのを種差別主義という。





差別は構造的暴力のひとつだが、構造的暴力はしばしば直接的暴力をともなう。





実際、「犬は本能に従って行動するだけ」と言う人は、首輪をつかんで云々とか、ひっくり返して云々とか、直接的暴力を行使するように主張しているのである。





殴ったり蹴ったりする人もいるが、首輪をつかむだけだから暴力は使っていないと思っている人もいる。





人間に置き換えると、胸ぐらをつかんだり、地面に組みふしたりするというのは、暴力ではないというようなものだ。





こういう直接的暴力もつらいが、自分の言い分はいつも無視され、相手の命令ばかり聞かされるというのもつらい。





こういうのを人権無視とか権利の侵害などというが、それを「信頼関係」と言ってしまうのだから恐ろしい。





わたしは植民地支配のことを思い出してしまう。





人権も自治権も踏みにじっておいて、「おかげで豊かになった」「文明化した」などと言う。





今回の中学社会科の教科書の検定でも同様の言いかえが行われている。。





「狩猟採集中心のアイヌの人々の土地を取り上げて、農業を営むようにすすめました」と記載されていた「北海道旧土人保護法」の記述を、「狩猟や漁労中心のアイヌの人々に土地をあたえて、農業中心の生活に変えようとしました」というふうに、まるで恩恵を与えたかのように書き換える。





差別と支配、暴力はつながっており、そこにはそれを肯定する巧みな言いかえがある。





わたしたちは騙されないようにしたいものだ。





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