from : pet salon Mignon DIARY
休み明け土曜日は地獄のような忙しさで、予約もいっぱいなところに、なぜか予約していない人も詰めかけてごった返してしまった。
感染症については気をつけている人と、まったく気にしない人が混在しているので、施設側としては悩ましい。
短時間で済む用事だし、自分は気にしないから予約が必要とは思えない、行ってしまおう、という人と、うちは高齢者がいるから予約して行って個別対応してもらい、帰ったらしっかり手洗いをしよう、という人がバッティングしてしまう。
お約束の方がいるのでアポなしは対応できない、と断ろうとしても、せっかく来たんだし、では外で待っています、と次の予約の人が来る時間まで待たれてしまったりする。
そんなわけでゴールデンウィークまっただなかの土曜日は、途中から意識混濁状態で目先の仕事を片付けてとにかく人を溜めないようにすることに没頭していた。
そして日曜日は隔週で来ている鍼灸の先生が、休みの日なのにまたわりちゃんを心配して手伝いに来てくれた。
パートで入ったはずなのになぜか年末年始の保護動物の世話のボラに来てくれたり、と仕事に来ているのか、ボランティアがしたかったのかわからない不思議な先生だ。
容体を説明し、予約の患者さんを診察している間に、オペ室でひとり鍼とお灸をしていた。
ずっと点滴治療を続けていたおいつさんも、日曜の朝からほとんど反応がなくなってしまった。
午前中の診療が終わってから鍼灸でない日曜担当の先生と検査をしたら、血液検査上は改善傾向にあるけれどエコーで見ると胆嚢の周りが真っ白になっていた。
これは急に調子が悪くなった時に破けてたんでしょうね、もう少し若ければ胆嚢を取るケースですね、と先生が言う。
うーん、16歳で愛護センターに持ち込まれて6ヶ月いてからうちで引き出して、さらに6ヶ月以上経つから若く見積もっても17歳で18歳近いかもしれない・・。
そっか～。。。なんとかしてあげたいですけどね。
このまま内科で押しても、数値上は改善してもずっと食べれていないし、どんどん反応がなくなっていて、今朝の顔を見てもうお別れなんだな、って感じて。いちかばちかでオペできないかな。
やりたければやりますけれど、かなりハイリスクですよね。
可能性がゼロではないならこのまま死を待つより手術をしてあげたい。
それならやってみましょうか。
というわけで、そこから手術器具の滅菌を始め、滅菌をかけている間に軽くお昼を食べて手術を開始した。
心臓が悪いから、本当は麻酔医のヘルプが欲しかった・・と思いつつ、自分が言い出したことなので黙々とモニターの調整をした。
すごい不整脈ですよね、と先生も困り顔だ。
これで普段の状態です。
そっか。
お腹を開けるのを覗き込んでいたら警告が鳴り、心電図がフラットになった。
ヤバイ！止まった！！
先生がドレープ越しに心臓マッサージをしているので、麻酔を切って人工呼吸器を切り替えたり、心電計の端子を直したりと慌ただしく対応する。
やめましょうか。
心臓マッサージしながら先生に聞かれる。
ちらりとおいつさんの開いたお腹を振り返り、続けてください、いま閉じても痛みは同じだから術中死してもやりましょう。
そうですね、痛いのになにも変わらないほうが辛いか。
心拍と呼吸が戻ったので、麻酔を低量で維持して継続することにした。
タンタンタンッ・・・タンタンタンッ・・・タンタンタッ・・・・
おいつさんの独特の不整脈のリズムがモニターの電子音に変換されて語りかけてくる。
頑張って治してもっと一緒にいようね。
心拍が安定したな・・と思ったら、麻酔が足りなかったらしく醒めかけてしまった。
すみません～！起きちゃう！ちょっと待っててください！！
先生に声をかけて麻酔を深く落としていった。
深く眠ったのを確認してまた心臓が止まらないように少しずつ麻酔量を減らして行く。
減らすと浅くなる、でもどこかでちょうど良い場所があるはずだ、と探っている間に癒着していた大網が剥がされ胆嚢が露出する。
肝臓にしっかりと包まれるように癒着していて、柏餅のようになっていた。
これ、剥がすの大変ですね。
焦らず少しずつ剥がすしかないですね、大きい血管を傷つけたら終わりなので。
作業を見守りながら、助手が必要になる前に麻酔を安定させたい、と焦っていた。
すると途中から気まぐれに徐脈になることがなくなった。
そろそろプロポが切れる頃だからか麻酔は安定してきました、と先生に伝え、胆嚢に注目した。
時間をかけて肝臓からきれいに剥がしたら、半分が壊死して変色し、黄色く溶け始めている部分もあるのに中身はパンパンだ。
これ、漏れたら嫌だなぁ、と困る先生。
先に吸っちゃう？と注射器を出した。
中身を先に吸い出してから無事に胆嚢を摘出した。
お腹の中を汚染せずに終われたので、洗浄せずに手早く閉腹して祈るような気持ちで覚醒を待つ。
するとアオアオッ！と大きな声で吠え始め目が覚めた。
すごい！おいつさん覚醒がめっちゃ早い！
覚醒の時に騒ぎ疲れて、いったん寝ている写真。
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