from : ドッグウォーカー博士のスローライフ
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はっちゃん(秋田MIX♂6歳)の朝散歩の途中で、前方をクジャクの親子が横切った。
はっちゃんは草むらの匂い嗅ぎに気を取られていて気づいていない。
親子はすぐに反対側の茂みに隠れたが、ガサガサ音がしている。
はっちゃんは、「なに!?」と立ち止まった後、見なかったフリで立ち去った。
クジャクだとわかったら近づこうとするが、正体がわからないものはやり過ごす方針だ。
その後今度は、茂みの中からブーブーいう声が聞こえてきた。
鳴き声からすると、うちのフェンスの外によく来るイノシシのようだ。
知らないイノシシだったらやり過ごすが、たぶん知りあいのイノシシだからだろう。
はっちゃん、そばに寄ろうとしていた。
はっちゃんの野生動物に対する反応は、なかなかおもしろい。
はっちゃんはぶらぶらと道草食ったり、立ち止まって何事か考えたりなど、まったりしていることが多い。
パピーの頃からそういう散歩をしていたせいだろうと思う。
自由に暮している子獣は、最初のうちは親と一緒に散歩して、歩き方を学習する。
犬の場合は、犬親や年長の犬だけでなく、人間にも付いて来る習性があるので、子犬のころにそうやって安全な道を人間がゆっくり歩いてあげると、自分で歩き方を学ぶ。
はっちゃんはそうやって育てたので、狭い道で車を避けるのが非常にうまい。
子犬は、オンリードで歩く練習の前に、オフリードでたっぷり人や犬の後追いさせておくと、ちゃんと自分で学習するので、このことがもっと認知されればいいのにといつも思う。
犬の場合、社会化の感受期は、3週齢から10ないし12週齢くらいまでと言われている。
この時期にいろんな経験をさせることが大切だ。
それがその犬の一生に大きく影響するのである。
現在、生後45日をすぎた子犬や子猫は販売していいことになっており、それまでの間は、ペットショップや、ブリーダー、保護活動家、または個人宅などのところで過ごす。
45日というのはあまりにも早すぎる。
本来なら生後半年ぐらいまでは親兄弟と一緒にいさせてあげたいものだ。
現状の45日で考えた場合、重要なのは、この大事な時期に子犬たちがどのような環境で、どのように扱われているかということである。
最近では、ペットショップで飼うのは嫌だからブリーダーから買ったという話をよく耳にするようになった。
ペットショップの問題がマスコミでも取り上げられるようになったことも関係していると思う。
だが、ペットショップもブリーダーも、実際にはたいして違わないということを、よく理解していただきたい。
ブリーダーといってもいろんなところがあるが、子犬を販売して利潤(もうけ)を生み出すには、犬をある程度の数揃えて、どんどん出産させる必要がある。
だが、本当に犬のことを考えれば、出産はせいぜい1~2年に1度、生涯での出産回数は4度までがいいところだ。
イギリスケンネルクラブでは、生涯の出産回数を4回までに自主規制しているという。
これを実行しているブリーダーが日本にどれぐらいいるだろう?
親犬だって毎日散歩に連れて行くのが当然だが、何頭も飼っていたらそんなことは不可能だ。
狭い敷地や建物内にケージをぎっしりおいて、50頭以上も犬を飼っているいるブリーダーなどはざらだ。
ときどき崩壊してはニュースになっている。
「シリアスブリーダー」を名乗るところでも、30頭もかかえていたりするから驚く。
世話できないほどの数を抱えていると、病気が蔓延する。
寄生虫はもちろんのこと、ウィルス感染などもある。
今回は触れないが、純血種の間には遺伝性疾患が蔓延している。
そんな「ブリーダー」から、お金を出して子犬を「買う」というのは、まったくお勧めできない。
そもそも、命を売買すること自体が非人道的であるし、また殺処分されている犬がいる限り、犬を繁殖したり買ったりするべきでないと考えている。
だが、そこを百歩譲ったとしても、商品を買うのであれば、どんなところから来てどういう状態にあったのか、もっと感心を持ってもいいのではないだろうか。
社会化の大事な時期に、子犬がどんな場所で過ごしているのか、そこではどんな学習が可能なのか、見せてもらうのが当然だ。
もし、締め切った室内のケージの中に詰め込まれて、親から離されていたとしたら、その子犬はすでにストレスいっぱいである。
それは、個人や団体に保護された子犬でも同じことだ。
親犬やそれに代わる犬と一緒に過ごし、人間と同じ空間で育った犬は、落ち着いていて飼いやすく、問題行動も出にくい。
逆に、大事な時期を限られた環境で過ごした子犬は、脳の発達に遅れが見られたり、情緒的な安定を欠く。
そういう子犬を、見た目のかわいさで売りつけるというのは、悪徳商法に他ならない。
犬の問題行動が増えたように思えるのは、都市化など犬を取り巻く環境の変化も大きいが、それとともにこのように商業繁殖された犬の増加が関係しているのではないかとわたしは考えている。
子犬を育てるにあたっては、その子の一生を左右する一大事にかかわっているという自覚が必要だ。
忙しいからと、ケージやサークルに入れておいたり、散歩はワクチンが終わってからなどと言っていると、社会化不足犬になる。
閉じ込められるストレスで、興奮度が高く不安定で噛みつきやすくもなる。
犬を取り巻く状況はあまりにも劣悪だが、多くの方が知識や情報を得るということが、現状を変える上で重要なことだ。
ぜひとも知り合いの方に、どんどん情報発信していただけたらうれしい。
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