from : ドッグウォーカー博士のスローライフ
朝は霧雨程度だったが、午後になって雨脚が強まり、犬猫たちはひたすら寝て過ごしている。
けっこう寒かったので、猫たちはときどき起きては、ファンヒーターの前で体を温めていた。
ふたり一緒に起きてくるが、小さなヒーターではひとりしか温まれない。
そこで長老、キキさん(サビ猫♀19歳)が独り占めしていた。
ところで、ストレスの原因になるものに、「予測不可能性」と「対処不可能性」というのがある。
これまでも何度も取り上げているのだが、何が起こるかわからないということと、自分の力ではどうにも対処できないということは、ストレスになるのである。
このことは、心理学分野での残酷な動物実験によっても確かめられている。
たとえば昇進などの良いことであっても、それが予測できないことであれば、うつ病になることもある。
自分ではなにもできないというのも同様だ。
1960年代に心理学者マーチン・セリグマンが、犬を使ってそれについて研究した。
まず、犬に電気ショックと警告音を繰り返し与え、予測はできるが対処はできない状態に置く。次に警告音が鳴ってから体を移動させれば、ショックを回避できるように教える。
しかし犬たちは逃げなかったという。
この状態を、「学習性無気力」という。
たとえば、飼い主が突然叱ったりする、逃げ場がない状態で体罰を加えるなど、予測も対処もできない状態におくと、動物たちはストレスを感じる。
このような不快なものだけでなく、エサのような快刺激を与えても、自分で思い通りにコントロールできない場合には、ストレッサーになる。
おやつを使ったトレーニングで、非常に難しい課題に挑戦するなどといった場合、なかなかおやつが出てこないと犬はイライラしてくる。
ヒンヒン鳴き出すこともある。
日々の生活はなるべく同じスケジュールで過ごすようにするとか、ケージなどに閉じ込めないなどというのは、こうした理由からである。
次に何が起こるかわかって、自分で対処できるという状態であれば、ストレスがかかりにくい。
散歩中に苦手なものと遭遇したときに、自分で逃げられるようにしておくと、いきなりギャウギャウ吠え掛かるというようなことになりにくい。
そのために長いリードを使うのである。
犬は常に飼い主の事情に翻弄されている。
だから、少しでもストレスを減らすように、細やかな配慮をしてあげたい。
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